会社設立日が「土日祝日」でも可能に ― 2026年2月2日施行・設立登記の新ルールを司法書士が解説

目次

これまでのルールと実務上の悩み

会社(株式会社・合同会社等)や各種法人(一般社団法人・医療法人等)は、「設立の登記」をすることによって成立します(会社法49条等)。

(株式会社の成立)
会社法 第49条 株式会社は、その本店の所在地において設立の登記をすることによって成立する。

一般社団法人及び一般財団法人に関する法律 第22条
一般社団法人は、その主たる事務所の所在地において設立の登記をすることによって成立する。

従来、登記簿に記録される「会社(法人)成立の年月日」は、法務局が登記申請を受付した日となるため、会社・法人の設立日は、法務局開庁日に限定されていました。

そのため、これまでは、次のようなケースの日付を「設立日」としたいニーズを満たすことができませんでした。

  • 1月1日(元日)
  • 縁起の良い日(例:一粒万倍日、天赦日)や記念日(例:誕生日、結婚記念日)が土日祝日に当たる場合
  • 新設型組織再編(例:新設分割、株式移転)のスケジュールにおいて、4月1日や10月1日を効力発生日としたいものの、その日が土曜日または日曜日に当たる場合

制度改正の内容

2026年2月2日施行の改正商業登記規則により、一定の要件の下で、行政機関の休日(土日祝日・年末年始等)を「設立日」として登記することが可能になりました。

(設立の登記の申請の特例)
商業登記規則第35条の4
設立の登記(会社の組織変更又は持分会社の種類の変更による設立の登記を除く。)の申請をする者は、その申請の日の翌日が行政機関の休日(行政機関の休日に関する法律(昭和六十三年法律第九十一号)第一条第一項各号に掲げる日をいう。以下この条において同じ。)であるときは、当該行政機関の休日(当該行政機関の休日の翌日以降も引き続き行政機関の休日であるときは、そのうちいずれか一の日)をその登記の日とすることを求めることができる。この場合には、申請書にその旨及びその求める登記の日を記載しなければならない。

(行政機関の休日)
行政機関の休日に関する法律第1条
次の各号に掲げる日は、行政機関の休日とし、行政機関の執務は、原則として行わないものとする。
一 日曜日及び土曜日
二 国民の祝日に関する法律(昭和二十三年法律第百七十八号)に規定する休日
三 十二月二十九日から翌年の一月三日までの日(前号に掲げる日を除く。)

なお、本件改正については、法務省HPにおいても、2026年1月28日付けで情報が公表されています。
法務省:休日を会社等の設立の日とすることが可能になりました


① 対象となる登記

会社・各種法人(株式会社・持分会社・一般社団法人・医療法人等)の設立登記
※新設合併・新設分割・株式移転による設立登記も本特例の対象に含まれます。

参照:商業登記規則等の一部を改正する省令の施行に伴う商業・法人登記事務の取扱いについて(令和8年1月21日付け法務省民商第9号法務省民事局長通達)
以下、上記通達を一部抜粋して記載。
『会社以外の法人についても、前記第2と同様の取扱いとなる(各種法人等登記規則(昭和39年法務省令第46号)第5条、特定目的会社登記規則(平成10年法務省令第37号)第3条、投資法人登記規則(平成10年法務省令第51号)第3条及び一般社団法人等登記規則(平成20年法務省令第48号)第3条)。』

【本特例の対象外の登記】
・組織変更(例:株式会社 ⇒ 合同会社)による設立登記
・持分会社の種類変更(例:合資会社⇒合同会社)による設立登記
・特例有限会社の商号変更による設立登記
・投資事業有限責任組合契約の効力発生登記
・有限責任事業組合契約の効力発生登記
・限定責任信託の定めの登記

参照:商業登記規則等の一部を改正する省令の施行に伴う商業・法人登記事務の取扱いについて(令和8年1月21日付け法務省民商第9号法務省民事局長通達)
以下、上記通達を一部抜粋して記載。
『本特例の対象となる登記は、その登記が会社の成立要件となる設立の登記に限定され、これに該当しない株式会社及び持分会社の組織変更並びに持分会社の種類変更による設立の登記は含まれない(商登規第35条の4前段)。なお、会社法の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律(平成17年法律第87号)第46条の規定による特例有限会社の商号変更による設立の登記についても、同様の理由から本特例の対象に含まれない(改正省令附則第2条)。』
『なお、投資事業有限責任組合契約、有限責任事業組合契約及び限定責任信託については、本特例の対象とならない(投資事業有限責任組合契約及び有限責任事業組合契約登記規則(平成10年法務省令第47号)第8条及び限定責任信託登記規則(平成19年法務省令第46号)第8条)。』

② 登記申請の方法と登記申請書の記載事項

指定したい設立日が行政機関の休日である場合には、その直前の法務局の開庁日の開庁時間内(午前8時30分から午後5時15分まで)に登記申請を行う必要があります。
なお、オンライン申請や郵送申請であっても、申請書がその開庁日の開庁時間内(午前8時30分から午後5時15分まで)に法務局へ到達し、当日付で受付されることが必要となります。

参照:商業登記規則等の一部を改正する省令の施行に伴う商業・法人登記事務の取扱いについて(令和8年1月21日付け法務省民商第9号法務省民事局長通達)
以下、上記通達を一部抜粋して記載。
『本特例の求めは、設立の登記の申請と併せてする必要があり、かつ、当該申請は、指定登記日の直前の管轄登記所の開庁日の日付で受付がされなければならない。
なお、当該申請の方法について、特段の制限はないが、オンラインや郵送により申請を行う場合においても、当該申請が指定登記日の直前の登記所の開庁日(開庁時間内)に到達し、当該開庁日の日付で受付がされなければならない点は、上記と同様である。

例えば、2026年2月11日(建国記念の日)を設立日としたい場合、その直前の平日である、2月10日の午前8時30分から午後5時15分までの間に設立の登記申請をする必要があります。
また、連休のいずれかの日を設立日とする場合の例として、2027年1月1日(元日)を設立日としたい場合は、2026年12月28日の午前8時30分から午後5時15分までの間に設立の登記申請をする必要があります。
つまり、指定する設立日の“直前の開庁日(開庁時間内)に申請する必要があります。

本特例を求める場合には、オンラインによる申請のときは、「その他の申請書記載事項」欄において、登記の年月日は登記すべき事項の「会社成立の年月日」に記載した日付のとおりとすることを求める旨を記載し、かつ、「登記すべき事項」欄に記載する「会社成立の年月日」に指定の登記日を記載する必要があります。

【「その他の申請書記載事項」欄の記載例】
なお、登記の年月日は、登記すべき事項の「会社成立の年月日」に記載した日付のとおりとすることを求めます。

③ 登記申請書の添付書面

本特例の適用を受ける設立登記の申請に係る申請書の添付書面については、原則として、申請の受付日までに作成された書面を添付する必要があります。
なお、資格者代理人が設立登記を申請する場合、現行の添付書面の記載内容からは申請人の設立希望日を読み取ることができませんが、委任状に別途、設立を希望する日付を記載する等の対応は不要とされているようです。(参照:「商業登記規則等の一部を改正する省令案」に関する意見募集の結果について

④ 登記簿の記載内容

この特例を利用すると、登記簿の「会社成立の年月日」および「登記記録に関する事項欄に記載される登記の年月日」の双方が休日の日付で記録されます。また、新設合併による設立の登記、新設分割による設立の登記または株式移転による設立の登記を申請する場合において、当該登記所の管轄区域内に新設合併消滅会社、新設分割会社または株式移転完全子会社の本店があるときは、登記官は、当該申請と同時に申請された合併による解散の登記、新設分割による変更の登記または株式移転による新株予約権の変更の登記に係る登記の年月日についても、指定した登記日と同一の日を記録します。


まとめ

2026年2月2日施行の改正商業登記規則により、一定の要件の下で、土日祝日や年末年始などの行政機関の休日を、会社や各種法人の「設立日」として登記することが可能となりました。

これにより、従来は法務局の開庁日に限定されていた設立日について、

  • 1月1日(元日)等の特別な日付を創業日とすること
  • 一粒万倍日・天赦日等の縁起日や誕生日・結婚記念日等の記念日が土日祝であっても設立日に選択すること
  • 新設分割・株式移転等の新設型組織再編において、4月1日・10月1日といった節目日が土日であっても効力発生日に選択すること

が可能となり、自由度は大きく向上しました。

もっとも、本特例を利用するためには、

  • 指定する設立日の直前の開庁日に、開庁時間内で登記申請が受理されること
  • 登記申請書への所定の記載を行うこと
  • 添付書面の作成日に留意すること

など、通常の設立登記とは異なる実務上の注意点も存在します。

設立日は、事業年度、税務、許認可、契約関係など、将来にわたり多方面に影響を及ぼす重要な基準日となります。
本特例の趣旨と要件を正確に理解した上で、法務手続スケジュール全体を見据えた日付設計を行うことが、今後ますます重要になるといえるでしょう。

司法書士法人川岸事務所では、会社・法人の設立登記はもとより、新設分割や株式移転など高度な法的検討を要する組織再編手続まで、幅広い業務を取り扱っております。
本件改正の内容も踏まえ、ご依頼者様が最適な選択を行い、かつ、誤りのない手続を進めていただけるよう、実務面・スケジュール面の双方からきめ細かなサポートを提供しております。
どうぞお気軽にご相談ください。

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