これまでのルールと実務上の悩み
会社(株式会社・合同会社等)や各種法人(一般社団法人・医療法人等)は、「設立の登記」をすることによって成立します(会社法49条等)。
従来、登記簿に記録される「会社(法人)成立の年月日」は、法務局が登記申請を受付した日となるため、会社・法人の設立日は、法務局開庁日に限定されていました。
そのため、これまでは、次のようなケースの日付を「設立日」としたいニーズを満たすことができませんでした。
- 1月1日(元日)
- 縁起の良い日(例:一粒万倍日、天赦日)や記念日(例:誕生日、結婚記念日)が土日祝日に当たる場合
- 新設型組織再編(例:新設分割、株式移転)のスケジュールにおいて、4月1日や10月1日を効力発生日としたいものの、その日が土曜日または日曜日に当たる場合
制度改正の内容
2026年2月2日施行の改正商業登記規則により、一定の要件の下で、行政機関の休日(土日祝日・年末年始等)を「設立日」として登記することが可能になりました。
① 対象となる登記
会社・各種法人(株式会社・持分会社・一般社団法人・医療法人等)の設立登記
※新設合併・新設分割・株式移転による設立登記も本特例の対象に含まれます。
【本特例の対象外の登記】
・組織変更(例:株式会社 ⇒ 合同会社)による設立登記
・持分会社の種類変更(例:合資会社⇒合同会社)による設立登記
・特例有限会社の商号変更による設立登記
・投資事業有限責任組合契約の効力発生登記
・有限責任事業組合契約の効力発生登記
・限定責任信託の定めの登記
② 登記申請の方法と登記申請書の記載事項
指定したい設立日が行政機関の休日である場合には、その直前の法務局の開庁日の開庁時間内(午前8時30分から午後5時15分まで)に登記申請を行う必要があります。
なお、オンライン申請や郵送申請であっても、申請書がその開庁日の開庁時間内(午前8時30分から午後5時15分まで)に法務局へ到達し、当日付で受付されることが必要となります。

例えば、2026年2月11日(建国記念の日)を設立日としたい場合、その直前の平日である、2月10日の午前8時30分から午後5時15分までの間に設立の登記申請をする必要があります。
また、連休のいずれかの日を設立日とする場合の例として、2027年1月1日(元日)を設立日としたい場合は、2026年12月28日の午前8時30分から午後5時15分までの間に設立の登記申請をする必要があります。
つまり、指定する設立日の“直前の開庁日(開庁時間内)“に申請する必要があります。
本特例を求める場合には、オンラインによる申請のときは、「その他の申請書記載事項」欄において、登記の年月日は登記すべき事項の「会社成立の年月日」に記載した日付のとおりとすることを求める旨を記載し、かつ、「登記すべき事項」欄に記載する「会社成立の年月日」に指定の登記日を記載する必要があります。
③ 登記申請書の添付書面
本特例の適用を受ける設立登記の申請に係る申請書の添付書面については、原則として、申請の受付日までに作成された書面を添付する必要があります。
なお、資格者代理人が設立登記を申請する場合、現行の添付書面の記載内容からは申請人の設立希望日を読み取ることができませんが、委任状に別途、設立を希望する日付を記載する等の対応は不要とされているようです。(参照:「商業登記規則等の一部を改正する省令案」に関する意見募集の結果について)
④ 登記簿の記載内容
この特例を利用すると、登記簿の「会社成立の年月日」および「登記記録に関する事項欄に記載される登記の年月日」の双方が休日の日付で記録されます。また、新設合併による設立の登記、新設分割による設立の登記または株式移転による設立の登記を申請する場合において、当該登記所の管轄区域内に新設合併消滅会社、新設分割会社または株式移転完全子会社の本店があるときは、登記官は、当該申請と同時に申請された合併による解散の登記、新設分割による変更の登記または株式移転による新株予約権の変更の登記に係る登記の年月日についても、指定した登記日と同一の日を記録します。
まとめ
2026年2月2日施行の改正商業登記規則により、一定の要件の下で、土日祝日や年末年始などの行政機関の休日を、会社や各種法人の「設立日」として登記することが可能となりました。
これにより、従来は法務局の開庁日に限定されていた設立日について、
- 1月1日(元日)等の特別な日付を創業日とすること
- 一粒万倍日・天赦日等の縁起日や誕生日・結婚記念日等の記念日が土日祝であっても設立日に選択すること
- 新設分割・株式移転等の新設型組織再編において、4月1日・10月1日といった節目日が土日であっても効力発生日に選択すること
が可能となり、自由度は大きく向上しました。
もっとも、本特例を利用するためには、
- 指定する設立日の直前の開庁日に、開庁時間内で登記申請が受理されること
- 登記申請書への所定の記載を行うこと
- 添付書面の作成日に留意すること
など、通常の設立登記とは異なる実務上の注意点も存在します。
設立日は、事業年度、税務、許認可、契約関係など、将来にわたり多方面に影響を及ぼす重要な基準日となります。
本特例の趣旨と要件を正確に理解した上で、法務手続スケジュール全体を見据えた日付設計を行うことが、今後ますます重要になるといえるでしょう。



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